全ての葬儀場が宿泊に対応しているわけではなく、条例や施設の方針、あるいは防犯上の理由から「夜間の宿泊不可(閉館)」となっている斎場も少なくありませんが、その場合に遺族はどう過ごすべきなのか、いくつかの選択肢を知っておくと慌てずに済みます。まず最も一般的なのは、通夜が終わったら一度「自宅に帰る」というパターンであり、故人は斎場の安置室(保冷庫)で預かってもらい、遺族は自宅で身体を休め、翌朝再び斎場へ集合するという流れになりますが、これはセキュリティのしっかりした斎場であれば故人を一人にするという罪悪感を持つ必要はなく、むしろ「プロに任せて安心」と割り切って休息を優先する合理的な方法です。もし遠方から来ている親戚がいて自宅に泊めるスペースがない場合は、斎場の近くにある「ホテルを手配する」のが次善の策であり、葬儀社に相談すれば提携しているホテルを割引価格で紹介してくれることもありますし、ビジネスホテルであればアメニティも揃っていて快適に過ごせるため、高齢の親族には喜ばれることもあります。また、どうしても故人と離れたくない、あるいは宗教的な理由で線香の番をしたいという場合は、宿泊可能な「別の斎場に変更する」というドラスティックな選択肢もありますが、これは搬送費用の追加や日程の再調整が必要になるため、最初の打ち合わせの段階で「宿泊できるかどうか」を確認し、希望に合わなければ契約しないという判断が重要になります。最近では、故人を自宅に連れ帰って通夜を行い、翌日の告別式だけ斎場で行うというスタイルや、斎場の近くに「遺族控室専用のマンション」を用意している葬儀社もありますので、宿泊不可と言われても諦めずに「何か代替案はないか」と担当者に相談してみることが大切です。宿泊できないことは決して不幸なことではなく、むしろしっかりと睡眠を取って体力を回復させ、万全のコンディションで最後のお別れに臨むためのポジティブな環境であると捉え直すことも、長い葬儀期間を乗り切るための知恵と言えるでしょう。