近年、葬儀の形式は仏式だけでなく、キリスト教式や神式、あるいは特定の宗教によらない無宗教葬やお別れ会など、非常に多様化しています。こうした様々な形式の葬儀に参加する際には、その儀式の性質を理解し、適切な言葉を選ぶことが、故人および遺族への深い敬意の表れとなります。例えば、キリスト教式の葬儀に参列する場合、「お焼香」や「ご冥福」といった仏教用語は使いません。参加することを伝える際には、「〇〇様の告別式に列席させていただきます」という言い方が一般的です。「参列」も使われますが、「列席」という言葉は慶弔問わず使えるため、より無難と言えるでしょう。また、儀式の中心が「献花」であることを知っていれば、「献花をさせていただきに伺います」と伝えることもできます。神式の葬儀は「葬場祭」と呼ばれます。この場合も、「〇〇様の葬場祭にご参列申し上げます」と、儀式の正式名称を用いることで、相手への敬意と、儀式への理解を示すことができます。近年増えている無宗教葬やお別れ会では、宗教的な制約がないため、言葉選びの自由度は高まりますが、やはり配慮は必要です。この場合は、「先日ご案内いただきましたお別れの会に、出席させていただきます」といったように、「葬儀」という言葉を避け、「お別れの会」「偲ぶ会」といった案内状に記載された名称を用いるのが最も丁寧です。また、「〇〇さんを偲んで、お花を一本手向けに伺います」といったように、儀式の中心となるであろう行為(献花など)に触れて伝えるのも良いでしょう。どのような形式であれ、その葬儀が故人を偲ぶための大切な場であることに変わりはありません。その場の形式を尊重し、ふさわしい言葉を選ぶという細やかな心遣いこそが、真のグローバルなマナーであり、多様な価値観を受け入れる現代社会における、弔いの作法と言えるのです。