決まった形式や儀礼が存在しない無宗教葬儀。いざ執り行うとなると、その自由さゆえに「何から手をつけて良いか分からない」と戸惑う方も多いでしょう。しかし、基本となる骨格を理解すれば、そこに故人らしい要素を加えていくことで、心温まるオリジナルのセレモニーを創り上げることができます。一般的な無宗教葬儀の流れは、おおよそ以下のようになります。まず、司会者による「開式の辞」で始まり、故人を偲び、心を静めるための「黙祷」を捧げます。次に、司会者が故人の生涯や人柄を紹介する「故人の略歴紹介」が行われます。ここでは、単なる経歴の読み上げではなく、思い出の写真などをスクリーンに映しながら、温かいエピソードを交えて語られることが多くあります。続いて、友人代表などによる「お別れの言葉」です。弔辞という堅苦しい形ではなく、故人に語りかけるようなスピーチ形式が好まれます。そして、セレモニーの中心となるのが、音楽の生演奏や映像の上映といった「メモリアルコーナー」です。故人が愛した曲を流したり、思い出の映像を上映したりすることで、会場全体が故人との思い出に浸る時間となります。その後、宗教的な焼香の代わりとして、参列者が一人ひとり祭壇に花を捧げる「献花」が行われます。そして最後に、喪主が参列者への感謝を述べる「喪主挨拶」、司会者による「閉式の辞」をもって式は終了し、出棺へと移ります。これが一つのモデルプランですが、順番を入れ替えたり、詩の朗読や趣味の作品紹介などを加えたりと、アレンジは自由自在です。大切なのは、何をすれば故人が最も喜んでくれるかを考えること。葬儀社のプランナーとじっくり話し合い、故人の人生が輝くような、心に残るプログラムを組み立てていきましょう。