計画的に葬儀の準備ができる互助会は、多くのメリットがある一方で、その独自の仕組みゆえに、契約前に必ず理解しておくべき注意点も存在します。メリットばかりに目を向けて安易に契約してしまうと、後から「こんなはずではなかった」と後悔することになりかねません。最も注意すべき点は、互助会の積立は「貯蓄」ではないということです。これは、将来のサービスを受ける権利を購入する契約であるため、途中で解約した場合、払い込んだ掛金の全額が戻ってくることはありません。契約書に定められた所定の解約手数料が差し引かれ、特に加入期間が短い場合は、ごくわずかな金額しか返金されないケースもあります。次に、「積立金だけでは葬儀のすべてを賄えない」という事実です。互助会のプランに含まれているのは、多くの場合、祭壇や棺、人件費といった葬儀の基本的な部分のみです。通夜振る舞いや精進落としといった飲食費、会葬御礼品、そして宗教者へのお布施などは、別途高額な追加費用として発生することがほとんどです。契約内容をよく確認せず、「これで一安心」と思い込んでいると、最終的な請求額の大きさに驚くことになります。また、利用できる葬儀社や斎場が、その互助会の直営または提携施設に限られるという制約もあります。もし、故人や遺族が希望する特定の場所があっても、そこで互助会のサービスを利用することはできません。さらに、運営会社の倒産リスクもゼロではありません。法律により、互助会は預かった掛金の二分の一を保全する義務がありますが、裏を返せば、万が一倒産した場合、最悪のケースでは掛金の半分しか返ってこない可能性があるのです。これらの注意点を十分に理解し、契約書を隅々まで読み込み、不明な点は納得がいくまで質問する。その冷静な姿勢が、将来の安心を確かなものにするために不可欠です。