無宗教葬儀の案内状を受け取った際、「服装はどうすればいいのか」「香典は必要なのか」と、その作法に戸惑う方も少なくないでしょう。しかし、形式は異なれど、故人を悼み、ご遺族を思いやるという葬儀の根本的な精神に変わりはありません。いくつかの基本的なポイントを押さえておけば、安心して参列することができます。まず服装ですが、特に指定がない限り、一般的な葬儀と同様に「喪服」を着用するのが最も無難で丁寧です。案内状に「平服でお越しください」とあった場合でも、普段着ではなく、黒や紺、グレーといったダークカラーのスーツやワンピースなど、控えめで落ち着いた服装(略喪服)を選ぶのがマナーです。次に、香典についてです。無宗教葬儀では、仏式の「香」を供えるという意味合いはないため、厳密には「香典」という言葉は当てはまりません。しかし、日本ではお互いに助け合うという意味で金銭を包む習慣が根付いているため、多くの無宗教葬儀では香典を受け付けています。その際の表書きは、宗教を問わない「御霊前」とするのが最も適切です。「御花料」という書き方も良いでしょう。ただし、案内状に「香典儀は固くご辞退申し上げます」と明記されている場合は、ご遺族の意向を尊重し、持参しないのがマナーです。お悔やみの言葉をかける際にも、少しだけ配慮が必要です。「ご愁傷様です」「心よりお悔やみ申し上げます」といった一般的な言葉は問題なく使えますが、「ご冥福をお祈りします」や「成仏」といった言葉は仏教用語ですので、避けた方がより丁寧な印象を与えます。当日の儀式では、焼香の代わりに「献花」が行われることがほとんどです。前の人の作法を参考に、落ち着いて行いましょう。形式の違いに戸惑うかもしれませんが、最も大切なのは故人を偲ぶ気持ちです。その気持ちを胸に、静かに故人との最後のお別れをしましょう。
無宗教葬儀に参列する際のマナーと心構え