自由な葬儀のメリットと気をつけるべき点
故人らしさを表現できる無宗教葬儀は、多くの魅力を持つ一方で、その自由さゆえに気をつけるべき点も存在します。メリットとデメリットの両方を深く理解し、慎重に準備を進めることが、後悔のないお別れを実現するための鍵となります。最大のメリットは、何といってもその「形式の自由度の高さ」です。プログラムをゼロから設計できるため、故人の趣味や好きだったものをテーマにした、世界に一つだけの葬儀を創り上げることが可能です。例えば、音楽好きだった故人のためには生演奏を取り入れたり、映画ファンだった故人のためには追悼映像を上映したりと、アイデアは無限に広がります。また、宗教者へのお礼、つまりお布施や戒名料、献金などが一切不要であるため、費用を大幅に抑えられる可能性があるのも大きな利点です。一方で、デメリットとして最も大きいのが「親族の理解を得る難しさ」です。特に年配の親族の中には、宗教的な儀式を行わないことに対して「故人が浮かばれない」「先祖に顔向けできない」といった強い抵抗感を示す方も少なくありません。故人の遺志であったとしても、事前に十分な対話と説明を尽くし、理解を得る努力が不可欠です。また、先祖代々の墓がある菩提寺との関係も注意が必要です。無宗教葬儀を行った場合、その後の納骨を菩提寺から断られてしまうケースも考えられます。事前に住職に相談しておくことが賢明です。さらに、決まった形式がないということは、遺族が葬儀の内容を一から考え、作り上げていかなければならないという負担にも繋がります。悲しみの中で、そのエネルギーを捻出するのは容易なことではありません。信頼できる葬儀社とよく相談し、二人三脚で準備を進めていく姿勢が求められます。